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2章:二、アル、木偶ノ坊 ノ 物語 (2/41)

「ねぇ、ママ! 俺さぁ、ググったよん」


SAKURAママがこだわってオーダしたという、檜の一枚板のカウンター。

本日も、もれなく酔っ払いの坂崎純也(さかざき じゅんや)が素っ頓狂な声を出した。


「あら……わざわざ……お声はもう少し小さくね……で、何をググられたのかしら?」


SAKURAママが物憂げに答える。

腰までとどく亜麻色(あまいろ)の髪を黒いリボンで束ね、今日の出で立ちはリボンと同じ、黒のロングドレス。

色白の肌に赤いくちびると、ほんのり桃色の頬が美しい。
店のいたるところに灯された、赤や緑や白のキャンドル、アンティークランプやスタンドがSAKURAを照らす。


何歳なのかは全く不明だ。それは、若く見える、老けて見える。とかいう次元では無いのだ。


……何と形容しようか。
30歳だと言われれば30歳に見えるし、60歳だよと言われれば、そうか、60歳なんだと納得する。

それは不思議な女性だった。


錫(すず)板に【Lokken Beach(ロッケンビーチ)】と彫りこみを入れた、小さな看板だけが目印のBAR。


SAKURAママと同じく、店も不思議な空間だった。

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アル、ジェンヌ ノ 物語 他三編 ©著者:七斗

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