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6章:夕刻、雨
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「よう、どうだ?調子は」
北口、ホテル街の手前に男が立っている
細身のスーツを着こなし、高そうなネクタイ、クセのついた髪がすっきり整えられている
いかにも偉そうなオッサンだ
俺に話しかけたわけではないだろうと思ったが、周りには俺以外に人はいなかった
俺はこの男を知らない
しかし、男は言った
「はは、安心して大丈夫なようだな。
元気でやれよ、れんじ君」
「え……?」
いきなり名前を言われ、驚いた
俺が不審に思っていると、男は笑みを浮かべ、「じゃあな」とだけ言い残し、近くに停めてあった車へと歩いていった
間違いなく知らない顔だ
あの男は何故俺の名前を知っていたのだろうか
嫌な寒気がする
すると、曇っていた空から雨が降り始めた
俺は更なる疲れを感じた
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