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23章:19
相棒に股がり健児は
長い長い下り坂を
優を後ろに乗せて下っていく。
健児の広い背中に頬を寄せると
蒸気した肌に汗を感じた。
スピードが出過ぎない様に
ゆっくりと坂を下る。
健児のその優しさが伝わると
優の心に温かい物が広がっていく。
しばらく走ると
いつもの商店が見える。
相棒を止めた。
優は小走りで店の中へ入り
おばちゃんへ声を掛ける。
『おばちゃーん。
アイス2つちょうだーい。』
いつもの様に
小気味の良い下駄の音を鳴らし
おばちゃんは出てくる。
『はいはい、二百円だよー。』
二百円を渡して
商店の前にある
少し錆びが目立つベンチへと
二人で腰掛ける。
『優ちゃん
本当に素敵な彼氏が出来たねぇ。
おばちゃんも安心だ。』
大きな声で笑うと
おばちゃんは中へと入って行った。
妙に照れている優の頭を
愛おしそうに撫でる。
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