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18章:17 (3/5)

辺りは夜の帳に包まれて
今夜も蚊帳の中の二人を
白く光る月明かりが照らしていた。


お互いの呼吸音に
耳を澄ますと
心から安心出来る気がする。


『優さん』
健児が低い声で優の名前を呼ぶ。


返事をしようとした優より前に
健児が話し出した。
『ここ何日か
時折頭に雑音が入ります。』


それを聞いて驚いた様子の優を見ず
健児の目は宙を見ている。


『もしかしたら
もうあまり時間がないのかも知れません。
何の確信も無いけれど
ただ漠然とそう思うのです。』


優は咄嗟に起き上がり
健児の方へ体を向けた。
『どうして?どうして時間が無いなんて思うの!
何かの病気かもしれない。
明日病院へ行こう、
ねぇそうしようよ?』


早口で捲し立てていた。
泣いている様な
叫びにも似た優の言葉だった。


健児は
そっと優の体を引き寄せ
健児の体の上に優を重ねる様に
横たわらせた。


『自分はあの時死んでいた。
貴女の言ったご褒美の時間が
終わりに近付いている。
そうだとして
最後の時間がこんなに幸せなら
これ以上はありません。
ご褒美の時間がもう少しあるのなら
優さん、貴女をもっと知りたい。
甘い声の囁き。
花の様な笑顔。
この艶やかな黒い髪を
もっと撫でていたい。
出来る事なら永遠に
貴方の側で幸せに暮らしたい。』


そこまで言って健児は黙った。
力強く優を抱き締める
その腕は一瞬力が無くなり
震えている様に感じた。


宙を見ている健児に
一つの光が目に入る。


『あ!優さん
ホタルですよ。』


優の体を優しく起こし
手を引いて
蚊帳の外へと出る。


開いたままの窓の方へ行くと
幾つもの光が
瞬いては消え
瞬いては消えていった。
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飛行機雲 ©著者:ましろ

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