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時間の感覚がおかしくなりすぎた優は
どのくらい歩いたのか解らなかった。
山々に響き渡る蝉の声たちも
優の感覚を麻痺させていた。
目をつぶっているせいか
聴覚が研ぎ澄まされ
健児の荒い息遣いを感じる。
男性と二人きり
まして手をつなぐ経験など
初めてでも無いのに
こんなにドキドキするものなのか。
今にも跳び跳ねた心臓は
口から出てきてしまうんではないか
そんな風に考えては
また勝手な胸の高鳴りを感じた。
やがて健児は
ゆっくり立ち止まり
『目を開けて。』と言った。
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