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『昨日の残り物ばかりですけど。』
と言っている割には
いつもより少しばかり
豪華な食事が並んでいて
優の乙女心を感じさせる。
健児は数々の料理を見つめ
ぽかんと口を開いていた。
やがてはらはらと涙をこぼし
『こんな豪華な食事は初めてです。
平成では
毎日こんな
きれいなお米が食べられるんですね。』
と言った。
一口一口大切に大切に
味わって食べている健児に
優の心は温かさを感じていた。
そして『平成は良い時代なんですね。』
と噛み締める様に言った。
優はそれを何気なく聞きながら
側にあったリモコンで
TVをつけた。
その瞬間
健児は驚いて後退りしていた。
目の前の光景に驚きすぎて
声もでない。
『ゆ、優さん。
こ、これは、これは
この壁から見えている動く絵は
何ですか?』
『え?TVだよ?TV知らないの?』
何気なく言ったが
あの時代にTVなどない。
こんな片田舎の生まれなら
無声映画さえ見たことが無いだろう。
『あー。そっか。
これはTVと言ってね。
あらかじめ撮影した動画を
電波で、これに飛ばしているんだよ。』
『はぁ。
電波ですか。で、その電波って一体なんなんです?』
優は頭が痛くなってきた。
先が思いやられそうだ。
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飛行機雲 ©著者:ましろ
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