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優は
『車ぐらい降りろよ。
お客様だぞ。お・客・様』と
心の中で毒づいたが
気を取り直して
『はい!こんにちはー。』と答えた。
男は
『暑いでしょう。
ささ、どうぞどうぞ乗って下さい。』
と声を掛け
優は後部座席に乗り込んだ。
とりとめのない世間話と
不便な片田舎に何故移住したいのか
優の住んでいる街は
どの程度都会か
そんな話を
ひたすら一人で喋りまくる男に
適当に相槌を打ちながら
車窓の景色ばかり見ていた。
見れば見る程に
心奪われていく気がした。
今まで見た事の無い景色は
優の目を釘付けにし
移住してくるかもしれない新天地に
胸を踊らせた。
それは
水面をきらきらと
輝かせる小川であったり
運が良ければ鹿や狸などの
野生動物に会えるかもしれない
山道などであった。
車で1時間程度走った頃
目的の家が見えてきた。
『ここですよー。』と声を掛けられ
わくわくした気持ちを押さえられない
優はさっと車から降り
一目散に家の前に向かった。
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飛行機雲 ©著者:ましろ
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