9章:初指名 (2/9)

そして翌日、アタシはまた出勤した。

普通の飲み屋ではお客さんの隣か対面で会話するだけだけど、セクキャバの場合はキスやお触りがある分、お客さんの体勢に合わせてムリな座り方をしたり、膝の上に座るとしても全体重をお客さんにかける訳にいかないから、どうしても訳の判らないところが筋肉痛になる。


お酒飲まなくていい分肝臓には優しいけど、ちょっとした体力仕事だなぁと感じ始めていた。


祇園で働いてた時みたいに月曜から土曜まで出勤して、お店が休みな日曜だけが唯一の休みなんてアタシにはムリだな、なんて思っていた。

実際週６出勤の子なんていないらしいし。


仕事の時間が始まり、ほどほどにハッスルやエスコートについていた中、リストの龍くんに呼ばれた。

｢蓮ちゃん、ニッコリのお客さん来たよ♪
初ニッコリおめでとうやね｣


へ!?


ニッコリって言葉は知っていた。
来店時の指名でしょ？


でもアタシ、入店３日目。
連絡先交換したのは池谷さんだけ。

お礼の電話は翌日入れておいたものの、そんなに日を空けずに来てくれる口ぶりではなかった。


蓮｢ニッコリって…指名ですよね？ホントにアタシですか？｣

龍｢うん。来店して指名の女の子はいますか？って聞いたら蓮ちゃんって言ってたらしいよ♪
蓮ちゃん、まだ３日目なのにすごいね！｣


えーっ！


勿論嬉しい。

だけど人違いとかじゃない!?