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20章:迷い
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当時、私を指名して下さっていたお客様はおそらくほとんどの方が善良な一般市民だった。
皆様私のことを、普通の女の子だから良いだとかスレていないから良いだとか言ってくれていたけれど、そもそも普通の女の子ならば風俗嬢にはならないし、スレていなければ続けられない職業であることも知らないのか知らないフリをしてくれていたのかどちらにしても、余っているわけでもない金で私のような女を買って下さっていたということはやはり皆善人だったのだと思う。
長く同棲していたリュウはだらしのないところはあってもマイペースで平和主義者だったし、シュウさんにしても実体はどうあれ私にとって害のあることはないという安心感があった。
私は危ない匂いやワルそうな雰囲気に興味はあっても、本物の悪に対しては危険信号が働くということを高梨さんに会って初めて知ったのだった。
勘が冴えたと言いたいところだが多分誰が見ても高梨さんは普通ではなかった。
高級なスーツや時計で飾っていても、笑顔で耳障りの良い言葉を話していても、隠しきれない暗いオーラが渦のように私の目には見えた。
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風俗嬢の肖像 2 ©著者:奈緒
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