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19章:一人じゃないよ (9/9)

サクラさんがトイレに立つ間、そのことを聞こうか聞くまいか悩んでいた。


恐らく本当に手を出していても認めるとは思えないし、やってなかったとしても失礼だろうし。


考えている間に閉店時間になって、サクラさんがお会計を済ませてくれて店の外に出た。


サクラさんがふいに私を抱き締める。


「…リコたん、ありがとう。会いに来てくれて、嬉しかったよ。」


「…私も会えてうれしかった。」


お酒と甘い香水の香りが混じりあって、二人で飲み歩いていた日々の懐かしい匂いがした。


「…でも、もう会いにきちゃダメだよ?」


「…どうして?」


驚いてサクラさんの顔を見たけれど、サクラさんは笑顔だった。


「…リコたんも、一人じゃないからね。シュウのこと、大切にしてあげて。幸せになってね。」


答えになってないじゃん、はぐらかすの悪い癖だよ。


そう言おうとしたのに、声が出てこなかった。


タクシーに乗り込んだサクラさんの笑顔が、とても切なかったから。


バイバイ、リコたん


タクシーが走り去る前、微かにそう聞こえた気がした。
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風俗嬢の肖像 2 ©著者:奈緒

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