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4章:4. (10/11)





愛「また…!!!!」


ア「ノックもしたし名前も呼んだよ」


愛「……はぁ。びっくりした」



アサヒはスルリと原稿用紙を手に持つと、私の書いた小説を勝手に読み始めた



愛「あ、ちょっと!!!」


ア「…これ、愛瑠が書いたの?」


愛「…………。」



恥ずかしさで私はそっぽを向く



ア「凄いなぁ…
俺、この世にまだ無い小説が読みたいって言ったよね?まさに愛瑠の書く小説だよ!」


愛「ちょっと、これは…
私が趣味で書いてるだけで、小説になってるかもわからないし
…本当につまらないからやめてよ」



私はアサヒの手から原稿用紙を取り返した



ア「どうして?愛瑠の書く小説なら面白ろそうだし」


愛「…私はさ、重い事しか書けないの。愛憎とか…愛してるから殺す狂気とか…が好きなの。

そういうのは、アサヒには理解できないし…それに読んでて絶対に気分悪くなるから…」


ア「…愛憎?憎い?
……愛してるのに憎いの?」


愛「…世の中には、そういう人間もいっぱい居るんだよ」


ア「俺には、愛憎や狂気は知らなくていい感情なの?」


愛「…アサヒの優しい心が真っ黒になっちゃうよ」


ア「…でも読みたいな」


愛「…………。」




私は、アサヒに原稿用紙を渡してしまった

何故だろう?

知らなくても損をする事の無い【愛憎】や【狂気】

むしろ知らなければ、こんなにも苦しむ事はないのに…


何も知らない綺麗なアサヒを巻き込んでしまいたい黒い感情が、私の心の傷からドロリドロリと溢れ出す
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last summer ©著者:天使

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