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5章:サヤ
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5章:サヤ
亀井さんとは毎週会いながらも、付き合ってくれないままの関係が続いた頃。
セクキャバで働くのがよりしんどくなってきた。
知らないおじさんに酔って乳首を攻め続けられる。痛いのに、感じているふり。
ただの不細工ならともかく、態度が横柄な人の接客はもっと疲れてしまう。
セクキャバの接客システムは、大体トークから入る。しばらくして店内の照明が暗くなりミラーボールが光ると、お客さんの上にまたがって、お客さんとキスしたりおっぱいを触らせたりする。これがいわゆる「ハッスルタイム」と呼ばれるもの。
私は元々人を選んでしまうタイプなので、次に指名で来てほしくない人には接客も手を抜いてしまう。
そんなある日、横柄なお客さんが来た。何をされたわけでもないのに、態度だけで拒絶反応がした。
第一声、上から目線で、
『脱がないの?』
って言われた。まだハッスルタイムではない。そう伝えると、
『そういうお店でしょ?』
と言われた。本当は店内の照明が暗くなる前でもお客さんにまたがってサービスしてもいいのだが、それが嫌だった。
『ドリンクをくれたらいいですょ笑』
と言ってみたら、キレられた。脱げないなら店長呼んでこいよ。となり、こうなれば意地でも私は引き下がりたくない。そのまま席を立ち、店長が呼ばれた。
後で店長に事情を聞かれて謝った。仲のいい内勤の石田さんが話しかけてきたので、
『さっきはすみませんでした』
と謝ると、
『元からおかしい客だったから気にしなくて大丈夫ですよ。』
とフォローしてくれた。聞くと、お金を払わずに帰ったらしい。その客に対する怒りと、お店に対する申し訳なさでいっぱいだった。
マミさんも心配して話しかけてくれた。
『あぁ、早く辞めたいなー』
そう呟いていた。彼女は、学費を貯めて大学に通いたいと言っていた。目標をもってがんばっているマミさんの人間性が好きになってきた。
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ホームレス嬢、政治家になる ©著者:サエラ
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