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2章:見知らぬ世界。
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9時になると就寝前の薬が配られる。
前の病院の中盤あたりから、眠剤は飲んでない。
安定剤しか出してくれなくなった。
もちろん寝つきは最悪。
8時に薬を飲んでも、2時までは必ず起きていた。
今日の面談で主治医は、
「眠剤をやめられているなら、それを続けよう。とりあえず今日は安定剤を出すから、眠れなかったら4時までは1時間置きに取りに来て」
と診断してガッカリした。
何を出すかも教えてくれない。
入院当日で気が高ぶって眠気なんて来ない。
みんなの話もあたしには刺激が強かった。
ヤバい薬中しかいない所に来ちゃったな…。
10時頃、すごく背の高い男の子がいきなりキレた。
怒鳴りちらし暴れて見てるだけで怖い。
看護士に取り押さえられてる姿は衝撃的だった。
シャブとか草っていきなりキレるのかな。
ゲンちゃんの話も思い出す。
静かな個室で横になっていても目は冴えたまま。
こうなったら眠れないアピールしてやる。
キッチリ1時間置きに薬をもらいに行った。
12時にライターが引き上げられる。
夜更かしの人も部屋へ戻って行く。
2時にはホールに誰もいなくなった。
どんどん薬を追加してるのに眠れない。
4時に最後の薬をもらった。
明日、西川さんに相談しよう。
今日はオールでもいいや…。
寝るのを諦めると意識が薄くなる。
やっと眠りにつけた…と思っていた。
でも実際は寝てなかった気がする。
入院2日目の朝、あたしはキチガイになっていた。
この処方は地味に今でも主治医を恨んでいる。
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薬中病棟。 ©著者:繭
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