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4章:過ちと償い (36/36)

★★★


ガチャリとドアが閉まり、奈緒が力無い笑みを残して帰って行った。


陽介はリビングに戻るとコーヒーカップをキッチンに片付け、再びソファーに腰かける。


たばこを口にくわえて、おもむろに火をつけて大きく吸い込んだ。


まだ帰宅して2時間だというのに、灰皿には吸殻が10本近く転がっていた。


奈緒の態度に対して、相当なストレスが陽介を襲っていたのだ。


(もう、潮時なのかもしれないな……)


たばこを深く吸い込み、煙と共に溜め息が口をついて出る。


(おれは美佳に何もしてやれなかった。だからその分まで奈緒には精一杯の事をしてあげるつもりだったんだ。それを“罪滅ぼし”などと考えたのは、おれの勝手な自己満足に過ぎなかったんだ)


駆け引きされたーー奈緒の突然の離婚。そして昼間のラインから今夜の態度に至るまで、陽介はそう印象を抱いた。


陽介は住まいが決まるまでは、奈緒と恵美里をこのマンションに受け入れても構わないと考えていたのだ。
収納同然になっている部屋を片付ければ、恵美里の部屋は容易に確保できる。


だが、今夜の奈緒の、腹を探るような態度でその考えが一変した。


(とにかく、仕事と家探しには尽力しよう。奈緒の生活が落ち着いたらーーそれを見届けてこの関係はおしまいだ)


陽介は腹を決めていた。


いや、玉櫛物産の取締役となり、将来の社長就任が確実となったことで新たな責任感が生まれていたのだ。


(もはや、冴子と離婚して会社を辞めることは出来ない。おれが辞めれば醜いトップ争いが勃発し、会社が迷走するのは目に見えている。そうなれば、おれの派閥の幹部社員達は徹底的に排除されるだろう。
おれの身体は、既におれひとりだけのものではなくなった。
おれはみどりで認めて貰えた。それがおれの肝を据わらせたのだ)


陽介はたばこを揉み消し、窓辺に歩を進めて遠く彼方を眺めた。


(そうして社長を勤めあげる。それが美佳に報いることなのだ……)


眼下に広がる街の煌めきが目に美しい。
その街を懐に包むように、雄大な須美高原がそびえている。


迷い道にあった陽介の足は元のルートに戻ろうとしている。


ところが、その足取りは奈緒の思いも寄らない行動に掻き乱されようとしていたーー




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darkness in the heart ©著者:タルドス

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