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3章:壊れた道標 (2/42)

年の瀬を迎えたみどりは活況を呈していた。


忘年会シーズンーー


この時期、スタッフはフル出動になる。
本業を御用納めした陽介は直ぐに地元に戻る予定であったが、料理長に乞われて29日までみどりに出勤することにした。
30日から正月三ヶ日は、みどりは休業する。


年内最終営業は早めに切り上げ、その後慰労を兼ねたスタッフの忘年会を催す。
料理長の顔が効く、駅前にある深夜営業の居酒屋に繰り出すのが毎年の恒例になっていた。


★★★


「かああっ! これだ!」


ムードメーカーの善一が一杯飲み干すと必ず同じ台詞をのたまう。
大酒飲み同士、赤川と隣り合わせて賑やかにビール瓶を奪い合っていた。


コース料理は瞬く間に大学生のアルバイトスタッフが気持ちよく胃袋の中に消し去っていく。


陽介はその光景を肴にして、目に笑みを湛えながら一人だけ焼酎をロックで遣っていた。
皆はビールをひたすら流し込んでいる。


奈緒は陽介とは離れて着席していた。
“近くに居ると感付かれるかもしれない”と、陽介が遠ざけたのだ。


陽介の隣席には寿々代がいた。




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darkness in the heart ©著者:タルドス

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