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2章:希望と失望の狭間で
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奈緒の一日は家族の朝食作りから始まる。
旦那を会社へと見送り、娘を通学団の集合場所へと急かし、それから自身の朝食を採る。
朝食時に奈緒にはルーティンワークがあった。右手に箸を、左手にはスマホを握っている。
聡のライン、或いはメールに返信するのだ。
聡は毎朝必ず奈緒に連絡をしていた。ラインなのかメールなのかはその時々だった。
それは『おはよう』の一言であったが、奈緒は一度だけラインを返さなかった事がある。
いやーースマホを手にする余裕がなかった。
娘の恵美里が風邪を患い発熱したのだ。
看病に勤しむあまり確認を忘れた。
すると、事情を知る由もない聡は血相を変えて電話を寄越してきた。
『ひとりで居る筈なのに何故ラインを返してくれない?』と激情していた。
理由を説明し事なきを得たが、奈緒はその聡の様子から、独り身で子供がいない聡には“母親特有の事情”は理解出来ないことを悟った。
聡は時間が許す限り奈緒と接点を持ちたがる。
それ以来奈緒は聡との“定時連絡”を欠かせなくなっていた。
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darkness in the heart ©著者:タルドス
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