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1章:晩夏と初秋の狭間で (25/26)

「ですよね……ごめんなさい。図々しくて……」


質問を遮られた奈緒はまたコーヒーカップに視線を落とした。


「それよりさ。奈緒ちゃんはみどり長いの? おれは役に立っているかな?」


「私は一年ぐらいです。陽さんは……料理長が助かると言ってましたよ! 私はまだねぇさんから怒られっぱなしで」


「そうか。良かった……。ねぇさんは……いいキャラしてるよね?」


「そう思います? だって、あの人……」


笑う陽介に奈緒はこれまでのみどりでの出来事や仕事の悩みを打ち明けた。
それに陽介は相槌を打ちながらまた笑い、自分なりの考えを奈緒に解り易く語る。


時を忘れ奈緒は話し続け、気付くと時刻は午前3時を回っていた。
学生達の姿は、もう無い。


「帰ろうか?」


陽介が伝票とスーツを手に席を立つ。
レジに向かい先を歩き、会計を済ませた。


その、みどりまでの帰路ーー


「ごめんなさい。私ばかり喋り続けて……それに、お礼の筈がご馳走になっちゃった……」


「いいんだよ。今日は楽しかった。普段は会社の人間しか話し相手がいないから」


「えっ!? それはどういうことなの?」


「独り暮らししてるからね、おれは」


ハンドルを握り、陽介は何喰わぬ顔でそう告げたーー



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darkness in the heart ©著者:タルドス

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