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1章:深夜の性欲処理
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「…ブツブツ…有限会社…土木…福山…福山土木…有限会社福山土木…」
贅肉に埋もれた小さな口が繰り返す金髪男の勤め先。
「あ?なんだテメェ?ひょっとして邦ちゃんに一目惚れでもしたとかぁ?」
女の一人が「邦ちゃんよかったじゃ〜ん!」と、金髪男を囃し立てた。
「マジでか?…って、俺には選ぶ権利ないんかーい!」
一斉に笑いだす男と女たち。
加根子は黙って歩きだした。
雌牛のような肥大しきった尻を見て「ないわ〜」と呟く男と、甲高い声で笑う女。
「…有限会社福山土木…有限会社福山土木…有限会社福山土木…」
加根子は呪詛の言葉を吐くように何度も何度も男たちの勤め先を繰返していた。
しばらく歩くとファミレスが見えてきた。
加根子はポケットから携帯を取り出すと、待ち合わせをしている男にメールを打ち始めた。
『今着きました。
車は何ですか?』
♪〜
『ごめんね!あと5分ほどしたら着くよ。こっちはシルバーのワゴンRだから!』
『わかりました。入り口付近で待ってます(〓´∀`〓)』
携帯の画面に表示されている時計は午前1時を少し回ったところだった。
やがて一台の車が近づいてきた。
シルバーのワゴンR…この人かな?
運転手は30代半ばの細身の男で、一瞬だけ加根子の方をチラリと見ると、ファミレスの駐車場には入って来ずにそのまま走り去ってしまった。
あ、あれじゃなかったのか…
しかし10分経っても20分経ってもシルバーのワゴンRは来なかった。
業を煮やした加根子は再びメールを送信した。
♪〜
『このメールはあて先不明の為…』
はぁ!?
やっぱりさっきの男だったんだ!
卑怯もの…
人をこんな夜中に呼び出しといて…
見た目なんか気にしないって言ってたくせに…
加根子は伸びきったパーカーの袖に冷えた手を入れてとぼとぼと歩き始めた。
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醜女 ©著者:小陰唇ふりる
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