一人マンションまでの道のりを運転する涼也。
駐車場に着くと車を停めため息をついた。


ゆうきとは長い付き合いだ。何でも知っていると思っていた。


仕事に関しては緒方を蹴落としたいと思うならそうすればいい。
社会に出れば戦場と同じなのだ。いつまでもゆうきに頼っていられるとは思ってはいない。


彼の人生は彼で決めければならないのだ。
子供の遊びではない。


ゆうきとライバルになれるなら涼也は喜んで立ち向かう。
しかし...


彼のあの目付き...
本当に優香を好いているのだろうか...


ゆうきと同じ女を取り合うのはごめんだ。
えげつない争いをする気にはなれない。
彼がどんな手段を使うかはわからないが、優香を傷つけるような事だけはしたくなかった。


あの冷たい鋭い目付きは涼也に向けられた物なのか...それとも...


彼女を危険な目に合わせる訳にはいかない。
しかしゆうきは変な事をする男出はない。
本当に涼也を蹴落としたいと思うならあんな笑顔を見せ長年に渡り涼也を支え続けてくるわけがない。


心に引っ掛かる物を残しながら涼也はエレベーターに乗り込んだ。
優香に不安な気持ちは見せたくない。
心を入れ替えドアを開けた...