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35章:秘密
優香が仕事復帰をしたいと訴えだしてから3日が過ぎている。
涼也はこの時...彼女にはずっと家にいてくれる安心感を感じていた。
涼也(無理して働かなくてもいいだろ?金に困った生活してる訳でもないんだから。)
優香(そういう問題じゃないの。私は今の仕事が好き。ずっと家で家事してるなんて嫌。)
涼也(お前は俺と結婚したら、専業主婦になるんだぞ?今からそうしたってかまわないだろ。)
優香(結婚してない今だからこそ仕事して貯金して自分で稼ぎたいの。)
食後のコーヒーを飲みながら涼也はソファーで不機嫌そうに煙草を吸っていた。
背後から聞こえる彼女の口調は強く、食器を洗いながらガチャガチャと音をたてている。
優香(明日から出勤する。)
涼也(勝手に決めるな。)
軽い口喧嘩は険悪なムードをつくりだしている。
彼女は家でじっとしていられるタイプでは無い。
わかってはいるがあの女が釈放された今、優香を外へ出すのが心配でたまらないのだ。
一度言い出したら利かない性格は誰に似たのだろうか...
涼也は不機嫌そうに灰皿に煙草を押し付けた。
涼也(わかった。その代わり俺と出勤しろ。もうバスでは通わせない。)
優香(私は子供じゃない。もう大丈夫よ。)
涼也(言うこと聞かないなら行かせないからな。)
涼也は先に寝室に入ってしまった。
一人リビングに取り残された優香は洗い物を済ませると煙草に火をつけた。
窓から見える夜景はキラキラと輝きそこには自由が広かっている気がする。
長い間家に閉じこもりストレスが爆発しそうだった。
最近優香が抜けたせいで涼也の帰りはますます遅くなっていた。
クタクタに疲れている涼也もストレスを抱えているはずだ。
寝室に向かうと、背中を向け寝ている涼也。
いつもは向かい合わせに寝ているのに...
優香は寂しさを感じながら布団に入った。
涼也に背中を向けため息をついた...
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