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3章:輝き
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3章:輝き
望月が入社して半年が経過した。彼女は直ぐに仕事を覚え、緒方からは信頼され時々事務仕事を他に任せ望月を外出先へ連れていく事も多くなっていた。
九官鳥と名付けられた従業員はキッパリと交際を断られ、暫く落ち込んでいたが望月は何事も無かったように明るく振る舞い、まるで鉄のような女だと噂されていた。
人柄と浸し見やすさから、ゆうきと望月はとても仲良くなった。
まるで兄妹のようだと周りに茶化されても、望月は無邪気に笑っていた。
当社のある都内からずっと離れた横浜に世話になってる社長が移転し、顔出しをするからと今日は1日社長は不在となった。望月はそれに同行させる為、二人は直帰となる。
ゆうきが営業から戻ると事務所には男性人だけとなり九官鳥はヤキモチをやき1日中ぶつくさと社長と望月の仲を疑っていた。
そんな様子を呆れ顔で皆見ている。
緒方(感じの良い社長だっただろ。)
望月(まぁ。変態おやじみたいだね。)
世話になった社長に挨拶を終えると緒方と望月は横浜の町並みを歩いていた...
すっかり夕暮れに差し掛かりあたりのイルミネーションが灯され周りはカップルで溢れていた。
緒方(あの社長は愛人沢山いるからな...望月の事気に入ったみたいだな。)
望月(私は愛人には向かないよ。)
肌寒い風が吹き荒れ冬を感じさせる。
一瞬、望月が悲しい顔をしたのを、緒方は気付いていた...
緒方(望月は、結婚願望とかあるか?)
望月(...。)
赤レンガ倉庫が見事にライトアップされ、遠目から眺める彼女は悲しみにみちてる気がした。
望月( 結婚なんて、私の人生には無い。)
緒方は何も言えなかった。言葉が、見つからなかったのほうが正しいのかもしれない。
彼女が入社して半年。ようやく仕事以外の会話が出来るようになった緒方は、望月に秘められた過去を気にしていた...
時折みせる悲しい顔、無理やり現実逃避するかのように明るく振る舞う姿、世の中に嫌気がさしてるような冷たい表情。
彼女は色々な顔を持っている。
そんな望月を、緒方は気に止めるようになっていた。
今まで、特定の女とは付き合って来なかった彼の心を動かし苦しめていた...
緒方(そうか...)
何も聞けない自分に苛立ち、都内に戻る車内は静まり返っていた。
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