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3章:輝き
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車内に流れるバラードが悲しく響き渡り横浜の夜景がフロントガラスに映し出される。
すっかり暗闇に包まれたベイブリッジを渡り、都内へと戻る最中だった...
緒方が若い頃、良く聞いていた曲。世間話一般的には余り有名では無いが、彼はそのバラード曲が大好きだった...
ふと、異変に気付いた緒方が望月に目線を向ける...
すると望月の目から一筋の涙がこぼれ落ちていた...
一瞬目を疑った緒方は、自分が何か気にさわる事を言ったのかと頭を働かせたが何も思い浮かばなかった...
緒方(どうした...?)
望月(なぜ...?)
緒方(ん?)
望月(なぜこの歌...)
その時、望月の涙の理由が車内に流れるバラードが原因だと気付いた。
緒方(あぁ...昔良く聞いてたんだ。知ってるのか?)
結局、そこから望月が口を開く事は無かった...
緒方は望月を自宅まで送り彼女はお礼を告げるとそのまま自宅に帰って行った...
彼女の一瞬の涙を、緒方が気付いていたことを彼女はまだしらないだろう。
顔を背けわからないように濡れた頬を拭う姿が目に焼き付いたまま、緒方は自宅マンションに帰宅した。
夜になるとすっかり気温も下がり肌寒い季節となった。
手はかじかみ見上げた夜空に吐き出した息は真っ白に染まる。
緒方の住む街では、あの時みた満天の星さえ輝かない…。
(よっ!!)
急に後ろから呼び止める声に思わずドキッとし、振り向く。
するとそこには買い物袋を手に持ち仕事帰りのゆうきが待ち伏せていた。
緒方(何だお前かよ。驚かせるな。)
ゆうき(空何か見上げて恋わずらいか?)
意地悪に茶化す彼の姿は学生時代から変わっていない。
緒方(どうしたんだよ。)
ゆうき(たまには家飲みでもしようと思ってさっ!!)
ゆうきの持っている袋には俺の好きな日本酒と、適当に選ばれたつまみが入っていた。
緒方(またアラフォー男の晩酌か?)
ゆうき(いや、今日は少し話したくてな。)
毎日顔を合わせている ゆうきが、わざわざ話がしたいと酒を持ってくる行為に、緒方は疑問を覚え何故かやましい気分にさせられる...
ゆうきとの付き合いは20年を軽く越える。
彼に隠し事は出来ないのだ...
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