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2章:冷たい美人
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2章:冷たい美人
翌日、従業員たちが出勤する頃にはもう既に仕事をしている緒方の姿が見えた。
喫煙所でゆうきが一服していると、緒方は口元だけ微笑ませタバコに火をつけながらゆうきに缶コーヒーを渡した。
ゆうき(店員の女の子、どうなった?)
緒方(食ったよ。まだまだ青いな。)
ゆうき(付き合う気ないんだろ?)
緒方(さぁな。)
ゆうき(お前のタイプじゃないだろ。)
緒方(御名答。)
ゆうき(お前、そのうち刺されんぞ。)
緒方はそのままタバコを灰皿に押し付け事務所に向かっていった...
どうしようもない遊び人だ。昨夜の彼女同様、彼に泣かされた子はさぞかし沢山いるのだろう...
キャバクラの女に人妻に居酒屋のバイト。
取引先の事務員には手を出さない事だけがギリギリ許せる範囲だった。
緒方の欠点は、それだけなのだ。仕事には人一倍の努力を発揮し、従業員たちにも思いやりがある。彼の人柄にはひかれる人も沢山いるだろう。
緒方の女遊びは寂しさからくる裏返しなのだろうか...ゆうきがそんな事を考えていると、制服に着替え出勤してきた望月が喫煙所に入ってきた。
望月(おはようございます。)
ゆうき(おはよう。タバコ吸うんだね)
望月(いけませんか?)
ゆうき(いや?)
冷たい表情に一瞬どきっとしたゆうきは二人きりの空間に居心地の悪さを覚えた。
ゆうき(男だらけの職場で働きずらくない?)
望月はタバコの煙を吐き手慣れた手つきで灰を落とした。そして遠くを見ながら口元だけ笑って見せた...
望月(女だらけの職場はうんざりなんで。居心地いいです。うるさくないし。)
冷めた言葉に ゆうきは思わず笑っていた。
何てサバサバした子なのだろうと...
ゆうき(今晩、歓迎会だから。時間あけといてね。)
望月(そういうの、苦手なんで。)
ゆうき(大丈夫。ただの飲み会だよ。)
望月は軽く会釈をし、タバコを灰皿に捨てると事務所に入って行った。
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