キャバ嬢えりかの生活はスタートした。人と話すのは得意な方だったので、トークに困ることはなかった。ただ、色恋営業は苦手だったので、話を盛り上げるか、聞き役を絶妙に演じて指名数を増やしていった。順調な滑り出しだったが、入店してから１ヵ月後、ある事件が起きたのだった…。

「靴がない！」最後のお客様を送り出し、ロッカー室に戻ったら…靴が見当たらない。ボーイを呼び止めて部屋の隅から隅まで探すけど、見当たらない。

泣きそうになってきた…「なぜ？どうしてないの？？」自問しても答えは出てこない。込み上げてくる焦りとともに必死に入口の階段から順に探した。15分位経っただろうか、ボーイの三島さんが、大きな声で叫んできた。

「えりかちゃん、あったよ！トイレの便器の裏に…」

なぜ？いったい誰が？底知れぬ恐怖に襲われた…