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2章:出会い (6/6)

「確かに彼女すごい可愛いけど、えっと…えー、絵里ちゃん?あのねぇこれだけは言っておくけどね、ナンパしてきたの彼女の方だから。」


大袈裟な調子で先生が応えると、皆一斉に絵里を見た。ほんとなのー?という具合にいたずらっぽい表情を一様に浮かべている。


突然の振りにお酒が入って真っ赤になっていた絵里の顔が一層赤くなる。


「いえあの…ナンパなんかじゃないです!ただご挨拶しようと思って…その…。」


酔いが回っていたのと皆の視線が痛いのとで、うまいこと答えられない。あぁどうしよう、この空気…。


「な、彼女顔真っ赤だろ?完全に俺に一目惚れしちゃってね、声掛けずにはいられなかったわけよ。いやー、参ったね。50歳になった途端にモテてモテてしょうがないんだよな、俺。」


何言ってんのよ田崎さん、10歳もサバ読まないでくれる?先日還暦のお祝いしたばっかりじゃない!若い女性ライターがそう突っ込むと、そうだそうだ調子に乗りすぎだよと、一同笑いに包まれた。


絵里はほっとして肩を撫で下ろすと苦笑いしながら、そうです、私、先生のことナンパしました、と認めた。隣りで志野もクスクス笑っている。


こんな感じで先生は、場を和ませつつ、下ネタも挟みつつ、楽しい話を繰り広げてくれた。本当に話上手で、誰に対しても分け隔てなく自然に接して盛り上げてくれていた。周りに人が集まる理由がよく分かる。


それにしても先生は若く見えた。確かに50歳は言い過ぎだが、実年齢を伝えたら、間違いなくびっくりされるだろう。


あっという間に過ぎる時間。22時を過ぎたところで解散となった。絵里は先生と志野と連絡先を交換し、また一緒にコレクションを見に行く約束をして別れた。
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仕事と恋とハイヒール ©著者:茉莉花

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