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42章:手土産 (1/1)

42章:手土産

木曜日の夕方、拓也は妻に明日、福岡で以前の上司や同僚との親睦会があると伝えた。勿論そんな親睦会など無く、歩美と会うための口実であった。拓也が飲み会ではなく親睦会という言い方をしたのは、車に乗って歩美に会いに行こうと思ったからである。東京や福岡市内と違って、筑豊ではどこに出掛けるのも車が無いと不便極まりない。女とホテルに行った後、徒歩圏内、あるいはワンメーターのタクシー料金で行ける程度の飲食店で食事をしながら、しっぽりと日本酒やワインを片手に終電まで語り合うのが、妻帯者である拓也の理想とするデートコースの一つであったが、明日はホテルに行くのが精一杯かもしれない。それでも、歩美とセックスできるのだと思うと拓也は楽しみで仕方がなかった。遠足前や修学旅行前に興奮してなかなか寝付けない子供と言えばやや言い過ぎだが、その日、拓也が眠りについたのは明け方であった。

翌日、昼前に妻に起こされた拓也は、着替えを済ませて鞍手町に向かった。拓也の妻が、せっかく久しぶりに昔の上司と会うのだったら手土産に苺でも持っていくようにと言ったからであった。銀行員の妻としては当然の気配りであるが、今日の拓也は上司に会いに行くわけではない。だが、持っていかないと言って怪しまれては元も子もない。迷った挙句、拓也は鞍手町まで車を走らせ、農家が運営する直売所で苺を3パック購入した。家族の分と上司と同僚の分として買った苺は実際のところ、家族の分と歩美の分であった。歩美は子供好きらしく時折、近くに住む親戚の子供の話を拓也にすることがあった。一つは歩美と一緒に食べ、残りは親戚の子供にと言って歩美に持たせれば良いだろう。歩美と上手く行けば、きっと今の仕事も上手く行くような気がする。そうなれば昔の上司に土産を持って行くよりも行内の人事評価でのリターンは大きいかもしれない。帰り道、そんな詭弁のようなことを考えながら拓也は高揚した気分で家路を急いだ。
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無題 ©著者:阿久津竜二

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