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28章:アヒル座り
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28章:アヒル座り
「うん。」
そう言って、歩美は上着を着たまま、ベッドには座らずに床にアヒル座りで腰を下ろした。アヒル座りは癖なのだろう。床ではなくベッドに座れば良いのにと拓也が思ったのは今日が初めてではないが、その姿は部屋の主に配慮しているようでもあり、何とも愛くるしく見える。
「生理になったから会わないって俺が言うと思った?」
「でも、ちょっと悪いかなって思って。そうやき迷っとって、連絡するのが遅くなってしまったんよね。」
歩美は少し気まずそうな表情を見せた。
「そんなの気にしなくて良いって。今更、水くさいじゃん。大晦日の前の日に、こうやって一緒に居られるのが嬉しいんだよね。」
拓也は歩美の笑顔見たさに、必死で言葉を紡ぐ。今日はこの女に最初から最後まで楽しい気分でいて欲しい。拓也の熱意が伝わったのか、歩美もすぐに笑顔を取り戻した。それから拓也は土産の東京ばななを歩美に渡し、二人で食事に行くことにした。
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無題 ©著者:阿久津竜二
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