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17章:密会
「さっきはゴメンね。今日は会社の人と一緒に来てるから見つかったらマズイと思って。」
「ううん、大丈夫よ。」
歩美は、拓也と無事会えてホッとしたのか、愛想たっぷりの笑顔で答えた。聞けば、事故を起こしてから家に籠ることが多くなり、こうして博多に出てきたのも久しぶりだと言う。
「引きこもってたら、家に遊びに来た友達にスッピン見られて、おっさんやんって言われたんばい。」
「酷いね、それ。」
拓也は笑いながら応えた。だが今日の歩美の顔は、拓也に会う前に念入りに化粧してきたのか、申し分ない女の顔である。肌は白く、なんとも言えず艶かしい。拓也も今日は初めてスーツ姿で歩美と会う日とあって、お気に入りの細身の黒のスーツにルイヴィトンの青いネクタイを合わせていた。不倫と言われようが、博多駅周辺でその日、一番のベストカップル。拓也はそんな誇らしい気持ちだった。部屋に入り、しばらく会話したあと、二人は洋服を脱ぎ、それから愉悦の時間を過ごした。
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無題 ©著者:阿久津竜二
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