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13章:ホテル
「今日は奥さんに何て言って出てきたと?」
「整骨院に行って来るって。」
「そんなん絶対、怪しまれるやろ、大丈夫なん?」
「大丈夫、大丈夫。」
拓也は、歩美に聞かれたことに正直に答える。歩美には何でも打ち明けられそうな気がしてきた。周りから見れば不倫かもしれないが、拓也には後ろめたい気持ちが殆ど無く、気分はますます爽快になっていった。
二人を乗せた車は、遠賀川の堤防沿いを走り、びっくり箱というラブホテルの駐車場に入った。ここは拓也が博多支店時代、仕事中によく通りかかったものの一度も入ったことのないホテルであった。拓也が歩美に前に来たことがあるかと聞くと、歩美は一度だけと答えた。さらに相手は誰かと聞くと、飯塚で昔ホステスをしていた時に客と来たのだと言う。歩美は博多のデリヘルで働く前は飯塚の飲み屋でホステスをしていたそうだ。
ホテルの駐車場でたまたま黒猫を見つけ、少し縁起の悪いものを見たと思った拓也だが、歩美は全然気にしていない様子であった。二人は車を降りてホテルに入り、部屋に向かった。
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