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8章:再訪 (1/1)

8章:再訪

次に拓也が福岡を訪れたのは5月のゴールデンウイークのさなかである。震災後も余震や放射能漏れを心配し、拓也は妻子を千葉の自宅に戻さず宮若に留まるように説得していた。その妻子と約1ヶ月ぶりに再会し、2泊3日の沖縄旅行に行ったあと、東京に戻る日に拓也が会う約束をした相手は、歩美ではなく梓であった。

当時の歩美と梓を比べると、梓の方がメイクもファッションも洗練されていた。どちらも小柄で巨乳なところは似ていたが、より細くスタイルが良いのは梓であった。格安店と高級店のクオリティの差が二人の女にそのまま反映されていた。
1ヶ月ぶりに会った梓は、以前よりも傲慢さがやや鼻につくようになっていた。拓也としては、当然前回と同じ金額を渡して会うつもりでいたが、当日になって梓は金額を増額してもらえなければ会わないと伝えてきたのだ。そこで拓也は仕方なく了承し、博多駅で梓と落ち合った。駅に程近いロアンヌというラブホテルに行った後、博多駅の地下飲食店街で坦々麺を食べてから、梓に見送られて拓也は博多を後にした。梓は客の男と揉めたのか店側と喧嘩したのか、全てが嫌になったらしく博多のデリヘル店を辞めていた。もうすぐ博多を離れて、大阪で働くのだと言う。拓也が梓とセックスしたのはその日が最後となった。

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無題 ©著者:阿久津竜二

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