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5章:歩美 (1/1)

5章:歩美

プレイが終わったあと、二人はベッドに寝そべって会話をした。
拓也は普段、割と無口な男であるが、リラックスした状態で女と二人きりになると相手の話によく耳を傾け、自分のことも饒舌に語る。拓也は自分が銀行員であることや、現在は出向中でシンクタンクに勤務していることなどを話した。また、拓也は自分に妻子がいることも話した。ニューヨークに出張する直前の2月末に宮若市の実家に里帰りさせて以来、震災があったために妻子と会っておらず、明日再会する予定であることを話すと、女は自分が宮若市の隣街である小竹町の出身だと言った。拓也は小竹町に土地勘があった。
拓也が銀行に就職して、最初に配属された店が博多支店だった。その博多支店時代、まだ銀行員として駆け出しの拓也は、小竹町の顧客を担当したことがあり、八木山バイパスを通って、月に何度も出張に来ていたのである。
拓也の脳裏に強く焼き付いている小竹町の光景がある。それは顧客との商談を終えた帰り道に見つけた、もともとは炭鉱作業員が住んでいたと思われる集合住宅であった。山の上の方まで、老朽化してボロボロになった小さな住宅が密集して立ち並び、道は舗装されていない。一目で生活環境の劣悪さが伝わってくる光景であった。都会暮らしの長い拓也にとっては、現代の日本にこのような集合住宅が存在することさえ信じられなかった。同じ頃、拓也は飯塚の麻生太郎の邸宅を車窓から見たことがある。長い塀で囲まれたその邸宅の庭には木々が青々と茂り、中はよく見えなかったが、炭鉱作業員の家族住宅と炭鉱王の息子の住宅には天と地ほどの違いがあった。

そんな光景や記憶が急に蘇り、腕まくらの中にいる女の顔を見ると、悪戯っぽいようにも、優しいようにも見える笑みをたたえている。この女はどんな環境で育ったのだろうかと拓也は想像を巡らす。麻生家のような良家の子女ではないのだろう。何だか余計に女が愛おしいように思えた。

「小竹町は昔、仕事でよく行ったよ。もう7年ぐらい前だけどね。その頃は何してたの?」

「高校生かな。地元のスーパーでレジ打ちのアルバイトとかしてた。」

「じゃあ、俺とどこかで会っていたかもしれないね。」

拓也が本名を聞くと、女は歩美と答えた。顔や洋服から判断して二十歳前後に見えた歩美だが、実年齢は24歳だという。別れ際に拓也は歩美と連絡先を交換した。

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無題 ©著者:阿久津竜二

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