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8章:壊れた玩具
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喉が熱い…
まるで焼け火箸を突っ込まれているかのように熱い。
朦朧とする意識の中、利奈は水を求めた。
暑い…
季節は夏。
利奈が一番嫌いな季節がやってきた。
冬の寒さも辛いが、夏の不快感はそれ以上の精神的ダメージを受ける。
拭っても拭っても噴き出す汗、蚊や蝿などの虫たちの発生、体中が痒くて不眠が続く。
それでも前の部屋がよかった。
ダニだらけの毛布でも、まだ寝床と呼べる場所があったし、あちこちに放り散らかした糞尿も自分のものだったから特に強い不快感はなかった。
利奈が今いる場所はこの世の地獄と言っても過言ではない。
顔や体に這う大量の蛆虫、何べん払いのけても這い上がってくるそれに、いつしか利奈は無関心になっていった。
もう何も考えられなくなってしまった。
もう何も話せなくなってしまった。
ただ食べて、眠って、糞尿を垂れ流し、昭夫の玩具として存在するだけ。
天井から降ってきた豚の糞がはねて利奈の顔に付いた。
利奈はそれを拭いもせずに一点を見つめていた。
暑い…
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豚の穴 ©著者:小陰唇ふりる
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