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6章:崩壊
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おかしなことに昭夫が利奈を犯したのはたった一度だけであった。
あれ以降、特に何をするでもなく、ただ毎日食事を与えて排泄物を眺めて片付ける…それの繰り返しだった。
変わった事と言えば二つ。
一つは薬。
食後に必ず飲まされる薬があった。
その薬のせいか、利奈はとにかくよく食べるようになった。
もう一つは羞恥心の喪失。
金盥を便所として使い始めた当初は、自分の排泄物を昭夫に見られるのが恥ずかしくて仕方なかったのに、慣れとは恐ろしいもので、今では昭夫が居ようが平気で用を足せるようになっていた。
それは昭夫が利奈の排泄物に対して無関心だったからかも知れない。
昭夫は一度たりとも臭いだの汚いだのとは言ったりしなかった。
いつも黙って盥を片付けてくれた。
利奈はいつしか昭夫に対して、ある種の信頼感にも似た感情を抱くようになっていた。
何を話すでもなく、笑った顔など一度も見せた事のない昭夫。
だけどたまにチョコレートを買ってきてくれたりする。
こんオジサンは本当はいい人かも知れん…
ほんならなんでうちを誘拐したんやろ?
答えの載ってるページが引きちぎられたなぞなぞの本を見ているようであった。
知りたい答えはどこにある?
昭夫は今日も金盥の中を見て無意識に親指の爪を噛んだ。
利奈は昨日も一昨日も排便していない。
あれだけ食ってんのになんでウンコせんのや?
もしかしてあん薬がいかんのやろか?
浣腸はいかん。
便秘薬もいかん。
自然に放り出したウンコやなかと意味がなか…
と、その時…
利奈が「おじさん…ウンコしたい」と腹に手をあてて歩み寄ってきた。
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豚の穴 ©著者:小陰唇ふりる
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