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3章:捕獲
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「遺影はこれでよかね?」
昭夫と康夫は棺の中を覗き込んでいた。
その様子を何人かの親族が呆れて見ている。
痺れを切らした叔父が、昭夫の少し薄くなった後頭部を見つめながら声を掛けた。
「おい、昭夫!お母さんが死んで辛いやろうが、こんな時こそ長男のお前がしっかりせんにゃいかんやろが!姉ちゃんの遺影はこれでよかな?え?」
昭夫は振り返り、叔父に何を言うでもなく無表情で頷いた。
その目にも、頬にも、涙のあとはなかった。
昭夫の左隣にいた康夫は目を真っ赤にして泣き腫らしてしたというのに。
昭夫は来週の木曜日のことを考えていた。
来週の木曜日は昭夫の28回目の誕生日である。
昭夫は決めていた。
自分へのプレゼントは『あれ』にしようと。
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豚の穴 ©著者:小陰唇ふりる
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