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2章:餌
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康夫はまだ餌やりを終えていなかった。
昭夫は雑誌の入った袋を手に、康夫には目もくれず豚小屋の裏手に回った。
陽当たりが悪く、二日前に降った雨のせいで地面はひどくぬかるんでいた。
昭夫の足音に驚いた野良猫たちが我先にと逃げて行く。
粗末な扉には似つかわしくない大きな南京錠。
昭夫は顔に止まる蠅を特に気にするでもなく鍵を開けた。
扉を開けると同時に襲ってくる悪臭。
耳元で蠅の羽音がざわつく。
その数は一匹二匹ではない。
昭夫は階段を下りて、右方向にあるもう一枚の扉の前に立つとニヤニヤしながら南京錠に鍵を差し込んだ。
「おい、餌の時間だぞ」
昭夫は何かに向かって話し掛けた。
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豚の穴 ©著者:小陰唇ふりる
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