5章:ラブリー (2/14)

『上野の国立博物館で空海展やってるんだけど興味ない？』

あかりと食事を楽しんで一夜を伴にした数日後にメールしてみた。

あかりは美術系の大学を卒業していた。そして寺院や神社とかの落ち着いた感じが好きだと話していたからだ。
確かこの空海展についても話題に上がってたはずだ。


実際、ある時期密教に惹かれていた頃があった。今思えば『中二病』のたぐいではあるが、今回の展示の目玉は一見の価値がある。

少しして『この前言ってた空海と密教美術展ですね？ググってみますね。』

という返信があった。

また少しして

『面白そうですね。興味あります。Yさんが言ってた修学旅行のですよね？』

と続いた。覚えてたんだ、あの時の会話。

『そうだよ。今週末、出張で東京だからよかったら土曜日行きませんか？』

すぐに返信が。

『是非、連れてってください。楽しみです土曜日空けときますね』

『じゃあ金曜日予約取るね？』

『いいよ。そんなつもりじゃないから。ありがと』

意外な答えが返ってきた。もうパニックだ。

意を決して

『電話できますか？』と送る。

『いいよ〜』

早速この前ショートメールで来た番号に電話した。