9章:第二話-3:【人格の秘密の領域】 (2/15)

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カール・グスタフ・ユング（Carl Gustav Jung、1875年7月26日 - 1961年6月6日）は、スイスの精神科医・心理学者。深層心理について研究し、分析心理学（通称・ユング心理学）の理論を創始した。ユング自身の言葉で言えば『人格の秘密の領域』を探ったのであった。


篤哉と連絡が途絶えてもう二ヶ月近い。私は、何とか彼を理解して、もう一度再会出来る日を信じて待っている。



『自己を受け容れることは怖いことだ』


ユングの言葉である。


篤哉は正にその歪(ひずみ)の中でもがいている。本能的に、紳士的な自分を演じ、哀しみの中の自身を封印しようともがく。


しかし、歪と向き合い、戦をしなければ、根本にある問題は解決出来ぬ。それをどう彼に解って貰えるのか。向き合う“怖さ”から、篤哉は無意識に逃げているから。


落ち着いて居る時の彼は、バーチャルリアリティの世界観に生きる。


“ひと”とは不思議だ。
本能的に、自分が傷つかない居場所を捜す。


連絡が取れないので、アクションを起こすタイミングが無かった。