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4章:第一話-4:【創られるストーリーの中で】
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「何でもよく知ってるね」
完全武装を貫く篤哉に、少し動揺して答え、彼は冷たい眼をしてじっと見る。
「孫子(そんし)の兵法……知ってるか?」
「孫子の兵法? 武田信玄の旗差し物の“風林火山”の謂れを説いた、中国春秋時代の兵法書だよね?
えと、『疾(はや)きこと風の如く、潜かなること林の如く、侵略すること火の如く、動かざること山の如く』だっけ?」
「その後があんだよ。『隠密たること夜陰の如く、激動すること雷鳴の如し』全て兼ね揃えてこそ“攻撃”だよな」
ーー“俺はそのように生きて来たんだ”と、言わずもがなに伝わる。『攻撃こそ最大の防御』だと。
「俺が好きなのは、『善く戦う者は人を致して人に致されず』」
「……どういう意味なの?」
「“人を致す”とは、主導権を握ること。誰かと手をつないで引き回し合いをすればわかるけどさ、振り回されるより振り回す方が楽だろ?」
にやりと笑って私を見た。
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【荊棘】(おどろ)外伝・二題 ©著者:七斗
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