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4章:第一話-4:【創られるストーリーの中で】 (30/31)

私の話すことを何も理解出来ないーーそんな眼をして篤哉は言う。



「……気の強い女は好きだ……だけど、偉そうな女は嫌い。解ったな。カラオケでも行くか」



彼はグラスが置かれたトレイを持って立ち上がった。



……今度はどんなストーリーを描いたのだろう。一抹の不安を憶えるーーカラオケボックスでは終始ご機嫌で、秋冬物のファッションについて眼を輝かせて語る。


いつも不安で常に恐怖を抱える篤哉は、着るものさえ鎧と見なす。豊富な知識は、彼の防御アイテムなのだ。



「デニムをな、腰まで少し落として履いた時にシャツの裾はタックアウト(外に出す)するかタックイン(中に入れる)するか……お前はどっちがいい?」


「ベルトが見えなくなるから、インかな」


「うん。B系、ヒップホップ系の兄ちゃんたちは絶対タックインしねぇけど、それ以外のファッションの人は、今は服装によってタックインもアリなんだぞ」


「うん。格好いいベルトをしていると、見せたいよね」


「出しているシャツの裾をベルトのバックルやベルトの端に引っ掛けて、半分ベルトを見せる様にすればいい。サファリやオーシャン等、西海岸系のファッション誌などで、よく紹介されている着方だ」


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【荊棘】(おどろ)外伝・二題 ©著者:七斗

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