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37章:新しいママ
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37章:新しいママ
きぃこ…きぃこ…
お空は、夕日で赤くなってた…。
カラスがカァカァと遠くで鳴いて、
もう普通の子供はみんなおうちへ帰る様な時間になっても…新しいママは、私の気が済むまでおっきな公園で遊んでくれてた。
おままごとがしたいって言ったら、
砂場で作ったお団子を美味しそうに食べる真似をしてくれるし、鬼ごっこやダルマさんが転んだがしたいって言えば、ちゃんと一緒にやってくれる。
ジャングルジムで遊ぶ時は、
ケガをしたりしないように、
近くで見守っててくれるし、
鉄棒で逆上がりの練習をしようとしたら、
上手く出来る様に足を持ち上げてくれたり、
今こうやってブランコに乗ってる時だって、いつまでもいつまでも、ゆらゆら背中を押してくれる。
マンションに帰っておうちの中に居る時も、時々とっとこハム太郎のDVDを借りてきてくれたり、色んな可愛いお洋服を着せてくれたり、学校でみんなが習う様なお勉強を教わったりしながら、毎日を過ごしてた。
本当の娘みたいに…
目一杯可愛がって貰ってた…。
きぃこ…きぃこ…
「…ママ、そろそろ帰ろ?」
「ん?もういいの?」
「うん、お腹空いちゃった」
「そっか。じゃあ帰って晩ご飯作ろうね。
何か食べたい物ある?」
「ママのご飯、美味しいから何でもいい」
「フフッ…分かったよ。おいで」
くいっ
「うん」
きゅっ…すとっ
きぃこ…きぃこ…きぃこ…
てくてくてく
ひさこお姉ちゃんが私の新しいママになってから、一ヶ月くらい経った…。
私がひさこお姉ちゃんの子供になる事を決めたのは…のろわれた一週間を、もう繰り返したくなかったから…。
あれからまだ宰おじさんからひさこお姉ちゃんに、私を返す様にっていう電話はかかってきてない。
ひさこお姉ちゃんは、
もしかしたらお巡りさんに捕まってて色々聞かれてるのかもしれないって言ってる。
でも、私は本当に一生お姉ちゃんの子供になるって決めたわけじゃなくて…もしかしたら、私がちゃんと言う事を聞いて、いい子のまま大きくなったら…いつか自由になって、本当のパパとママの居る元のおうちへ帰れるかもしれないって思ったから…。
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刻子 ©著者:池沼
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