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26章:勇気
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26章:勇気
「ごぉぉぉっ…ごぉぉぉっ…
クチャクチャぺろっ…っん〜…」
ぐいっ…ごろん
「………」
ずっと私の頭を抱いて寝てたおじさんが、
寝返りを打って背中を向けた…。
掛け布団をさらって私の体が剥き出しになってる…。
ベッドから降りるチャンスだ…!
行こう…!
ムクッ
ちら
「ごぉぉぉっ…ごぉぉぉっ…」
寝てる…。
スッ…とん…
体を起こすと…ゆっくりと動いて…
恐る恐るとベッドから降りる…。
ぎぃっ
びくっ
「………」
バクン…バクン…バクン…
「ごぉぉぉっ…ごぉぉぉっ…」
大丈夫…起きてない、大丈夫…。
早く行こう…。
今、何時くらいだろう…。
部屋の中が薄暗くて足元がよく見えないし、緊張して上手く歩けてない気がする…。
バクン…バクン…バクン…
扉まであと何歩だろう…。
心臓の音がおじさんにまで聴こえてそうなぐらいおっきく感じる…。
あぁ…怖い…怖いよ…
膝に力が入らなくて…
カクカク震えちゃって…
やっぱりうまく歩けない…。
「はぁ……はぁ…」
フラフラするし…
気分が悪くなってきた…
目がチカチカする…
でも、もう後戻りは出来ない…
今おじさんが起きたら…
おしっこがしたくてトイレに行こうとしてたなんて絶対に通用しないよ…。
神様…!
「ごぉぉぉっ…ごぉぉぉっ…」
あと2歩…あと1歩…着いた…。
扉まで着いた…。
なるべく静かに…音を立てない様に…。
「んん〜〜〜っ」
ごろんっ
びくっ
「クチャクチャ…ふぅ〜〜〜っ…」
「………っ!」
バクンバクンバクン…
寝返りを打ってこっちを向いたけど…起きて……ない…。
大丈夫…あぁ…もう…
びっくりし過ぎて倒れそうだよ…。
…カチャ…
「はぁ…はぁ…はぁ…!」
きぃ…
開いた…!ちょっとだけ開いた…!
きぃーーー…
ちらっ
「ごぉぉぉっ…ごぉぉぉっ…」
寝てる…けど…心無しか…
薄目が開いてる様な気がする…。
寝たふりして…見てない…よね…?
扉はしっかりと開いたし…
このまま出よう…。
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刻子 ©著者:池沼
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