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23章:穴
ピンポーンッ
ぱたぱたぱた…
カチッ、ガチャリ、ガチャッ
「こんばんは、森です」
「お待ちしてました、どうぞ中へ…昼間にも来て頂いたのに夜分遅く何度もすみません…」
「いえいえ、仕事ですから。
事件とは常に予期せぬタイミングで状況が移ろうものですよ」
「何卒宜しくお願い致します…」
ペコっ
「はい、ではお邪魔致します」
ずるっ…ストッ
とっとっとっ
「森さん、どうも。宜しくお願いします…」
「こちらこそ。ご本人さんはどちらへ?」
「上です。上がって下さい」
ぎしっ、ぎしっ、ぎしっ
こんこんっ
「はぁい」
「こんばんは、
飯塚警察署刑事課の森です。
失礼していいかな?」
「はぁい」
カチャリ
「やぁ、昼ぶりだね。
お母さんからたもつが殺されたって報せを聞いたんだが、本当かい?」
「うん…お昼にバラバラにされてね?
もう冷凍庫の中へしまわれちゃった…」
「犯人は近々、君の指を切り落とす等と言っているそうだね」
「うん…」
「今夜この後、どこかの山へゆいという娘の骨を埋める為に出かけるとも言ってるんだろう?」
「うん…何時間か前に晩ご飯として、
最後のゆいちゃんのお料理を食べさせられて…今おじさんが私用のスコップと、外へお出かけする用のお洋服を買って帰ってきた所…。着替えさせられてる…」
「着替え終わったら、
すぐ出発するって言ってるかい?」
「うーん…言ってないけど…
多分出発すると思う…」
「犯人が買ってきて、
今君に着せたお洋服の特徴は?
なるべく細かく教えておくれ」
「上に着るやつがねずみ色のしましま模様…チャックが付いててポケットが前の両方に二つある…あ、あと頭にかぶる袋みたいなのもくっ付いてる…」
カタカタカタ
「グレーのボーダーフード付きパーカーかな?
中には何かシャツとか着てないかい?」
「白くて可愛い絵が描いてある長袖…」
「どの辺に何の絵が描いてある?」
「お腹の所に猫みたいな…カエルみたいな絵が描いてる…」
カタカタカタ
「猫みたいなカエル…!?なんだそりゃ…キャラクターの名前は分からないかい?」
「分かんない…」
「その、猫みたいなカエルみたいな絵は何色かな」
「ピンクくて赤いお洋服を着て…リボンも付いてる」
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刻子 ©著者:池沼
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