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12章:久子お姉ちゃん
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12章:久子お姉ちゃん
カチャリ
「ただいま」
「お…帰りなさい…」
おじさんが帰ってきた…。
私は思わず立ってドアの方へ向いた。
「この娘が新しい娘?」
「あぁ。ときこ、お客さんだぞ。挨拶しろ」
おじさんと一緒に、ポニーテールの綺麗なお姉さんが部屋に入ってきた…。
「は…こんにちわっ…」
「やぁん、かわいいーっ!まだ凄くちっちゃいじゃない!初めまして!お嬢ちゃんっ、お名前は?」
「…ときこ…」
このお姉ちゃん、優しそう…。
床に膝をついて目の高さで話しかけてきてくれた…。
「ときこちゃんかぁ〜。私はね、久子っていうの。よろしくねっ」
「わんっ…!」
ひさこお姉ちゃん…。
「あははっ!わんだってぇ〜。また犬として躾けてるの?ほんとそういうの好きだよね、あんたって」
「あぁ、その方が愛着が湧くからな。犬みたいに可愛いだろ?ときこ。宿題は出来たか?見せてみろ」
「わんっ…」
私がすぐスケッチブックを手渡すと、受け取ったおじさんはペラペラとめくり、一枚一枚をじっくりと眺めてひさこお姉ちゃんも横から覗き込んでる…。
「…ふむ。久子、これを見てどう思う?」
「…また前の娘のDVDを見せたのね?最低…確か、えーっと…唯ちゃんだっけ?」
「仕方無いだろう。道徳教育の一環だ。
そうでもしてきつく言って聞かせないと近頃のガキはちゃんと肉を喰わん」
「当たり前じゃん!でも、絵はすごく上手。子供らしい稚拙さの中に一生懸命クレヨンを走らせたんだなって事が伝わってくる」
「何点だ」
「100点満点のはなまる!」
「ほう…じゃあお前がはなまるを付けてやれ」
「いいよ、クレヨン貸して。赤いやつ」
「ときこ。クレヨンの赤を久子に渡せ」
「わんっ…」
私はすぐ赤のクレヨンをケースから出してひさこお姉ちゃんに渡す。
お姉ちゃんはそれですらすらと三枚の絵にはなまるを付けてくれてる…。
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刻子 ©著者:池沼
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