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ペタッ
引っ張られてる方へ二、三歩進むと、手の平にひんやりとした床の湿り気を感じた。
「そこはさっきおまえがお漏らしをした辺りだ。
まだ少し濡れているだろう」
「は……わん…」
そうだ、返事は「わん」だ…。
いい加減覚えなきゃまた酷くいじめられるかもしれない…。
「犬はな、人間より何倍も嗅覚が優れてるんだ。臭いを嗅いでみろ。床に鼻を近づけてクンクンと」
「わん…」
なんで…そんな事しなきゃいけないの…?
さっき言われた通りちゃんと服で拭いたのに…。
クンクン…クンクン…。
袋を被せられてるせいで臭いなんか分からない…。
「臭うか?」
「わん…」
「くさいか?」
「わん…」
「何の臭いだ?」
「おしっこ…」
「誰の?」
「私の…」
「汚いなぁ」
「………」
「よしよし、いい子だ。今袋を取ってやるからな」
おじさんはまた私の首輪を外し、やっと袋を取ってくれた…。
部屋の中の視界がひらけておしっこを拭いた後の床が目の前にある…。
「ときこ、まだ拭き切れてない小便を舐めて掃除しろ」
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刻子 ©著者:池沼
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