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5章:粉
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しばらく覚醒剤で遊んだ二人だったが
恭の舎弟のうちの一人が恐喝で逮捕されたため、バタバタしているうちに薬は遠ざかった。
しばらく薬をやめただけで、金の支出が大きく減り
二人は裕福になった。
そのため
しばらく覚醒剤は止めると決めて、実際その通りになった。
それでも恭の目付きはもっと鋭くなり
ヒナの白い肌は、もっと白くなった。
10月になると、お洒落なブティックのショーウィンドウには、フワフワした冬服が飾られた。
コンビニにはおでんや肉まんが並び
雨なんか降れば昼間でも肌寒い季節になった。
小さく震えながらおでんを選ぶヒナを見れば、どんな男でも振り返らずにはいられなかった。
細い腰近くまである長い髪。
白い肌に大きな瞳。
しかし恭のマジェスタに乗り込む姿を見れば、男たちは
「やっぱりな」
と、ため息をつく。
それを見た恭は、くだらなさそうに目をそらした。
冷たい風がビュウとふけば、ヒナの髪が舞い上がる。
あわてて助手席のドアを閉めたヒナは
恭を見て微笑んだ。
二人の腕の注射跡は、日に日に寒くなる様に
少しずつ消えていった。
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