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9章:梶原
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9章:梶原
あの事件から一週間がたち、梶原が退院してきた。
腕をつっている三角巾が痛々しかった。
梶原の周りには、たくさんの生徒が集まって、心配そうにしていた。
「梶原、お前インターハイ出られないな・・・」
生徒の一人が、悲しそうに言った。
「全部、タケルのせいだ。あいつ戻ってきたらボコろうぜ。」
生徒たちはさわぎだした。
「ばーか。俺は何とも思ってねーよ。インターハイ出られないくらいで騒ぐなよ。それに、お前らじゃ、タケルに束になってかかってったところで返り討ちにされるだけだって。」
梶原は笑いながら言った。
「それもそうだけど・・」
「お前、悔しくないのか?」
生徒たちは、梶原に言った。
「別に。俺は一足先に引退になるけど、俺以外にも選手なんていっぱいいるし、きっと大丈夫だろ。いいとこまでいけると思うよ、今年のバスケ部は。」
梶原は、そう言うと、
「ちょっと俺、しょんべんしてくるわ。」
と言って席をたった。
明美は、教室の入り口のところで、ぼうっとつったっていた。
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