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8章:夜明け
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「じゃあ、俺もう行くわ。」
タケルは、抱き締めていた明美から少し身体をはなし、明美の唇にそっとキスをした。
不思議と、嫌ではなかった。
またしばらく会えなくなる、お別れのキスのようで、悲しくなった。
タケルはそのまま窓の方へ行き、振り返ることなく走っていってしまった。
夜が明けた。
これは一夜の夢だったのだろうか?
一瞬そう思ってしまうほど、あっけなくタケルは行ってしまった。
一人残された明美は、出勤の時間までソファーで眠ることにした。
何が起きたって、実習をやり遂げよう。
ここで逃げてちゃだめだ。
明美は心に決めた。
タケルの存在が、明美の中で大きくなっているのを、明美は感じていた。
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