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5章:タケル (1/9)

5章:タケル

体育倉庫から出た明美は、体育館で準備体操している他のクラスの生徒になるべく見られないようにして、体育館の出入口に行こうとした。


その時、学ラン姿の生徒が体育館に入ってきた。

タケルだった。


「あ!先生・・俺、今日ちょっと寝坊しちゃって今来たんだ。もう、体育終わったんだな。」


残念そうにタケルが言った。


タケルさえ、朝から来ていてくれたら、明美はこんなことにならなかったかもしれない。


明美はそんなことを考えていた。


「先生?どうかした?」

タケルは心配そうに明美の顔をのぞきこんだ。

明美の顔は、さっきまで泣いていたのでぐちゃぐちゃだった。

「先生、目が赤い・・化粧もとれかかってるし。泣いたの?」


何も知らないタケルは、明美に言った。


「何でもない・・」

明美はそっけなくそう言って、タケルの横を通りすぎようとした。


とにかく早くシャワーで洗い流したかった。


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教育実習日誌 ©著者:ポチャ子

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