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9章:ハチ公少女 (1/5)

9章:ハチ公少女

その日、雨が降っていた。
いつかの梅雨の季節。
そう、今ぐらいの時期に僕は傘を持って
駅に当時付き合っていた彼女を
迎えに行っていた。

悪天候のせいで中止になった
屋外デートの代わりに、仕方ないから
僕んちでゆっくりしようかと電車で
来てくれる手筈になっていたからだ。

晩頃になって駅に着いた僕は、
改札口の傍らで切符売り場から
プラットホームに抜けてゆく人々を
ぼんやりと見送っていた。

ふと、足元に目をやるとレインコートを着た
幼稚園だか小学一年だかぐらいの
小さな女の子が僕と同じく傘を両手に
隣で改札の方を見つめていた。

その様子はおそらく、仕事帰りのお父さん。
もしくはお母さんを迎える為に
お使いでも言いつけられたのだろうと
容易に察しがつく健気な姿だった。

定刻毎に電車から降りて来た人々が
改札を抜けて駅から家路に急ぐ。

女の子はそんな中、乗客の一人一人が
改札口に切符や定期を通す度、
神経質に顔を確認し、

(この人じゃない…)

(この人でもない…)

そんな事でも考えているように
じっと微動だにせず佇んでいた。

ひとしきり一便の群衆が駅から去ると、
お父さん(お母さん?)が
見当たらなかったのか、

(今の電車には乗っていなかったのかぁ…)

とでも言いたげな表情で、寂しそうに
残念そうにしょんぼりと俯いていた。

一波、また一波と帰宅者ラッシュが訪れ、
人々が改札口を通過していく度、
女の子は意気消沈。

不意にポツリと

(´〓〓〓)パパ…遅いな…

と虫の鳴く様な声で呟いたのが聞こえた。

(´_>`)。ο(あぁ、やっぱ
お父さん待ってたのか。ハチ公みたい)

そう思った僕は、心の中でなんとなく
ハチ公少女と呼ぶ事にした。

そしてそのまま僕の彼女も、
ハチ公少女のパパも姿を現さないまま、
かれこれ小一時間程時間が過ぎていた。

(´μ〓μ)パパ…

ハチ公少女は不意に泣きそうな声でそう洩らし
長時間の直立にくたびれ果てたのか、
チョコンとその場にしゃがみ込んでしまった。

(´_>`)…パパ、遅いねぇ

なんとなく無意識に、僕はそう声をかけた。
ハチ公少女は少し驚いた様に
こちらを振り向いたが、
すぐに改札に向き直し黙ってコクリと頷いた。

(´_>`)…早く帰って来るといーね。パパ

(´〓〓〓)…。

(コクリ)
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(´_>`) ©著者:密

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