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60章:【ナナシ】最後の夜
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60章:【ナナシ】最後の夜
物事には終りというものが必ずあって、
それは突然に訪れるものだと知ったのは15の冬の終盤だった。
卒業を目前に控え、慌ただしく日々が過ぎる中、僕の親友は学校を休みがちになった。
以前は学校を休む事などほとんどなく、
たかが一日休んだだけで心配して見舞いに行ったくらいなのに、
ここ最近は教室にいるのを見ることが珍しいほど、
彼は学校に来なかった。
時々学校に来ても、
何を聞いてもヘラヘラ笑うだけで何も言わなかった。
会う度に目の下の隈は濃くなり、見るからに痩せて、声は掠れている。
それを心配しても、なんでもないと言い切り、そして他愛のない話をしては、またヘラヘラ笑って帰って行く。
そして次の日は来ない。
それの繰り返しだった。
でも、そんな物足りないほど他愛ない日常も、幸せだったと気付く事件が起きた。
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